雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

2020-01-01から1年間の記事一覧

こざき 亜衣『あさひなぐ』

ついについに感動の最終巻を迎えてしまった漫画。 女子高生たちによる熱いスポコンの物語が幕を下ろします。映画化もされたので、もはや説明の必要もないかもしれませんが、簡単にストーリーを。 二つ坂高校新入生の東島旭[とうじまあさひ]は、元美術部で根…

大森藤ノ 『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 16 』

私がずっと追い続けているシリーズのひとつです。 今回のメインヒロインは、行きつけの酒場の店員で、ベルの成長をお弁当とともに見守り続けている美少女シル。全てはベルの所属するヘスティアファミリアのホームに、シルからの手紙が届くところから始まりま…

高野 秀行『謎のアジア納豆  ―そして帰ってきた〈日本納豆〉―』

日本人が独自の文化として認識し、ある意味誇りのようなものさえも抱いている納豆。 しかし、実はアジア各地で納豆は広く食べられているそうです。では、日本と他の地域で食べられている納豆との違いは何なのか? そもそも、納豆の定義とは? という唐突な疑…

白鳥 士郎『りゅうおうのおしごと!』

主人公のチートさでは藤井君に抜かれてしまったと名高い本作。 いかにもライトノベルチックな美少女(幼女)の表紙と設定に敬遠していましたが、読んでみたらなんとも面白い小説ではないですか。主人公の九頭竜八一[くずりゅうやいち]は、十六歳にして竜王の…

丸山 宗利『きらめく甲虫』

虫の本です。タマムシに代表されるように、甲虫には美しい金属光沢をもつ種が多く存在します。 その甲虫の美しさを堪能すべく作られたものが本書です。博物館に飾られた標本のように、色も形も様々な甲虫が各ページいっぱいに並べられたさまはある意味壮観で…

冲方 丁『マルドゥック・アノニマス 5』

待ち望んでいた新刊です。囚われの身になっていたウフコックを救い出したバロットは、ようやく会いたくて会いたくて仕方がなかった愛しいネズミとのパートナー関係を再開しました。 規格外すぎる一人と一匹の快進撃は相手がくそ野郎であればあるほど小気味よ…

草野 原々 『最後にして最初のアイドル』

この可愛らしい表紙につられて購入した人は後悔するかもしれません。 早川書房なので、SFだろうとは思っていましたが、初音ミク的なものを想像していたのに対して、なんじゃこれはとんでもない(誉め言葉)。主人公はアイドルにあこがれる普通の少女、古月み…

白鷺 あおい『ぬばたまおろち、しらたまおろち』

創元ファンタジイ新人賞の優秀賞受賞作(第2回)とのこと。岡山の田舎の村で暮らす深瀬綾乃には、四年前に事故で両親を失ったという過去があります。 育ての親にも内緒の彼女の秘密、それは、白蛇(というより大蛇)のアロウの存在。綾乃が岡山で暮らすよう…

京極 夏彦 (翻訳), 東 雅夫 (編集)『稲生物怪録』

百本のろうそくを前に、怖い話をひとつするたびに1本ずつろうそくを吹き消す。 百話目が終わって真っ暗になったとき、不思議なことが起きる。有名な話ですが、実際にやってみた人はあまりいないのではないでしょうか。主人公は、度胸試しとしてこの百物語を…

今村 翔吾『童の神』

ああ、これはいい。 時代小説でお気に入りの作家を見つけてしまいました。以前、『火喰鳥』を読んで知らない作家だと思っていたら、本屋に平積みされているほどに有名な人だと知って姿勢を正して読んでみました。 本作は角川春樹賞を、審査員の大絶賛のもと…

塙亘之、中村計『言い訳 関西芸人はなぜM-1で勝てないのか』

実力派漫才コンビとして確固たる地位を築いているナイツですが、意外にも、彼らはM-1での優勝経験はありません。 何度も挑戦しては優勝に手が届かずに終わる。それでも挑戦し続けたM-1への思いと、漫才への思いがあふれたインタビュー形式の本です。全体的に…

倉知 淳 『幻獣遁走曲』

表紙のフクロウ人間が印象的な本書。小柄で童顔で年齢不詳(でも、実は結構年がいっている)の猫丸先輩は、いろんな仕事をします。治験、UMAの捜索隊員、ヒーローショーの怪人、はたまた松茸狩りの案内人。そこで起きるささやかな事件を、猫丸先輩がとぼけた…

一條 次郎 『レプリカたちの夜』

第2回新潮ミステリー大賞受賞作 著者の別作品「動物たちのまーまー」の表紙に惹かれ、それならばデビュー作から、ということで手に取ってみました。主人公の往本は、動物のレプリカ工場で品質管理の仕事をしています。 多くの動物たちが絶滅したという世界観…

「時間術大全――人生が本当に変わる「87の時間ワザ」」ジェイク・ナップ (著), ジョン・ゼラツキー (著), 櫻井 祐子 (翻訳)

いつも時間に追われるような日々を過ごしていないでしょうか? 一日を振り返って、何をしていたか思い出せなかったりしないでしょうか?GoogleとYouTubeでそれぞれ多忙な日々を過ごしてきた著者二人が、自分の時間を作るためのテクニックを紹介した本です。 …

服部 文祥『息子と狩猟に』

「サバイバル登山家」という肩書を持つ著者による、山を舞台にした短~中編の2作からなる作品集です。 ちなみに、「サバイバル登山」というのは、ザックの中に食料からテントからすべてを詰め込むいわゆる登山ではなく、オール現地調達の方式の登山を指して…

百田 尚樹 『カエルの楽園』

日本(JAPAN)をもじった、ナパージュというツチガエルたちの楽園の壊滅を通して、日本の環境を寓話仕立てに書いた小説です。 誰を指しているのかやや露骨なところはありますが、さすがの読みやすい文章と、寓話ならではの残酷な表現、そして著者の手による…

山田 悟 『糖質制限の真実』

流行りに流行ってもはや定着した感もある糖質制限。 ひとくちに糖質制限といってもその方法も多岐に渡り、もはやどれを信じればいいのか分からない状況です。さてそんな混乱の極みかつ玉石混合の中、この本は医学的根拠に基づいた健康的な糖質コントロールの…

辻堂 魁『風の市兵衛』

主人たる高松道久が禁じられた相対死(心中)により亡くなったことで、家計的に逼迫していた高松家。 財政の立て直しのために期間限定で雇われたのは、侍ながらも算盤を弾くのが得意な唐木市兵衛です。彼は、美しい未亡人・安曇から、高松家の台所事情を聞き…

赤羽 雄二『アクション リーディング 1日30分でも自分を変える"行動読書"』

本を読むための時間を捻出できなくてストレスがたまる。 あるいは、本を読むことの意義を見いだせない。正反対の立場のように見えて、実はこの2タイプは同じなのだそうです。 すなわち、本を読むことに対して「受け身」であるという点です。著者は、このよう…

フランセス アッシュクロフト (著) 矢羽野 薫 (翻訳) 『人間はどこまで耐えられるのか』

高山・深海・宇宙空間まで、とどまるところを知らない人間の冒険心。 人間の限界に果敢に挑み続ける方々には畏怖の念さえも覚えるほどですが、では、実際のところ人間はどこまでの極限状態まで耐えられるのか。そんな疑問に答えてくれるのがこの本です。 な…

原田 マハ 『サロメ』

オーブリー・ビアズリーの名を知らなくても、この本の表紙に描かれたなんとも蠱惑的なイラストを見たことのある人は多いのではないでしょうか。 十九世紀末のイギリスの代表的な作家オスカー・ワイルドの戯曲「サロメ」の挿絵として描かれたその絵は、「サロ…

北野 唯我 『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』

ブログの内容を小説に書き換えたという本書。世に傑出した天才であっても、その才能が殺され、時には絶望から当人を死に至らしめることさえもあります。 天才の死、それは凡人によってもたらされるのである。 なぜ天才は殺されてしまうのか、どういうメカニ…

中山 市朗 『怪談狩り あの子はだあれ?』

「幽霊の出てこない話」だそうです。 と聞くと、なんとなく人間の恐ろしさを描いた話なのだろうか?と短絡的に思ってしまいますが、ちょっと違います。出てくるのは、妖怪変化の類でしょうか。 日本昔ばなしの現代版といえば近いかもしれません。 聞き書き形…

岡田 真理 『いざ志願! おひとりさま自衛隊』

若気の至り(?)で予備自衛官補なるものに志願し、全訓練期間を終えた著者の体当たりの体験記です。タイトルと表紙の軽さでなんとなく色眼鏡で見ていたりしましたが、いやいや、なんとも勉強になる一冊でした。本職ライターという著者の文章は軽妙で、読み…

石徹白未亜 『節ネット、はじめました。 「黒ネット」「白ネット」をやっつけて、時間とお金を取り戻す』

気づいたらスマホに手が伸びて、ついつい寝るのが遅くなってしまう。 そんな生活を脱却しようとタイトルに惹かれて読んでみました。著者は元会社勤めのフリーライター。 パソコン仕事なこともあって、ついつい必要のないページに飛んで、いつのまにか時間ば…

鈴森 琴『忘却城 鬼帝女の涙』

私の心をすさまじい強さでつかんでいった「忘却城」の続編。 今回の主人公は、名付け師・縫の百人の御子のうち八十四番目の死霊術師の青年・魘神[えんしん]です。死霊術と呼ばれる死者をよみがえらせる技術により大きな力を得た王国。しかし、その設立には呪…

小林 泰三『失われた過去と未来の犯罪』

人類が記憶を持てなくなった世界を舞台にしたSF小説です。正確には短期記憶はあるのですが、それでも長くてせいぜい10分程度で日常生活を送ることなどとうてい無理です。 やがて、人類は失った記憶能力の代わりに、外部の記録媒体に自分自身の記憶を保存して…

野田 サトル 『ゴールデンカムイ』

何で今まで読まなかったのかが不思議なくらいに、趣味にぴったりはまった面白い漫画です。ブームから何年かたったのちではありますが、今現在、だだはまり中です。舞台は明治時代。主人公の杉元佐一は日露戦争帰りの兵士で、その戦いぶりから「不死身の杉元…

近藤 史恵『カナリヤは眠れない』

大阪心斎橋の雑居ビルの屋上にプレハブ小屋の居を構える、合田整骨院。 その院長である合田力は、人間の「身体の声」を聞いて、その処方を決めることのできる非常に優秀な整体師です。合田力のもとへ訪れる患者たちの心の闇を描いたシリーズ一作目となる本作…

大槻 ケンヂ『サブカルで食う 就職せず好きなことだけやって生きていく方法』

ミュージシャン、作家、タレントなどなど、マルチな分野で活躍をしている大槻ケンヂが、いわゆるサブカルの世界で生きていくための秘訣(というか心構え?)を綴った本です。屈辱的なあだ名をつけられながら、悶々と過ごした少年時代。 ロックバンド筋肉少女…