雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

フランセス アッシュクロフト (著) 矢羽野 薫 (翻訳) 『人間はどこまで耐えられるのか』

高山・深海・宇宙空間まで、とどまるところを知らない人間の冒険心。
人間の限界に果敢に挑み続ける方々には畏怖の念さえも覚えるほどですが、では、実際のところ人間はどこまでの極限状態まで耐えられるのか。

そんな疑問に答えてくれるのがこの本です。
なぜ人間は耐えられないのか、どういったメカニズムで危険に陥るのかを、生理的な観点からの解説はとても面白くためになります。

また、著者自身も(死を伴うほどではないにせよ)過酷な環境を体験し、実体験に伴う体の反応を記してくれたりもします。


民俗学者と考古学者は以前から、人間の体の大きさは気温と相対関係があり、それによって異なる人種が進化してきたと注目していた。】


体温調節は動物にとって非常に重要なことで、高くなりすぎても低くなりすぎてもいきていくことはできません。そのため、寒冷地の人々は熱を逃がさないようにずんぐりむっくりした体型で表面積を狭くし、逆に暑い地域の人たちは手足が長く、熱を逃がしやすくなったのではないか、といわれているそうです。

熱を作れなくなるのは非常に危険なことなので、海に投げ出された時も無駄に泳いだり暴れたりせず、エネルギー節約のために静かに浮いているのがベスト。
タイタニック号での死亡者も、多くは低体温症によるものだということです。

自ら極限状態に向かわなくても、船、飛行機など、アクシデントでサバイバル環境に放り出されることもなくはないですので、そんな時の豆知識として心に留めておこうと思います。