雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

泉 ハナ 『外資のオキテ』

「英語を使った仕事をしたい!!」

そんな子供の頃からの夢を叶えるため、主人公・高村貴美子は一念発起して大手の会社を退職、アメリカへの一年間の語学留学へ旅立ちます。
語学留学を終えて日本へと戻ってきた貴美子は、意気揚々と外資への就職活動を開始するものの、色よい返事がもらえずにいました。

会社員時代に貯めた貯金は語学留学で使い果たし、焦りを感じはじめる彼女は転職エージェントの鈴木さんと面会します。
そこで指摘されたのは、「語学留学は留学とはみなされない」という衝撃の事実。

鈴木さんからのアドバイスを受けて、貴美子はまず、正社員ではなく派遣から外資の門をくぐることにします。
いくつもの外資の会社を経験する中で彼女は、さまざまな癖のある人たちと出会い、外資で働くためのスキルを身につけていくのです。

ライトな読み心地でさらりと読めてしまいます。
外資とはいえ、やっぱり必要なのは実務能力。
そりゃそうですよね。会社は英会話をするところではありません。


【そもそも会社という場において何を優先すべきか、何が大事なのか。
 会社は仕事をする場所だ。】


電話先の相手のまくしたてた英語を聞き取れずに落ち込む貴美子に対して、派遣先の先輩である水野さんはそんなことは大したことじゃない、と一蹴します。良い状態で仕事をできるようにするのが重要なことで、それ以外のことは二の次だと。

他人におもねる日本企業の風土に慣れた貴美子にとっては、目からうろこが落ちるような指摘でした。
文章だけ見ると実にその通りなのですが、実体験として仕事の周囲に付随する人間関係の煩わしいことと言ったらありませんね。

アラサー女子の成長譚ですね。
どうしても恋愛要素が絡んでくるのがなんともですが、仕事で落ちた時なんかに読むと元気が出てくるかもしれません。


外資のオキテ (角川文庫)

外資のオキテ (角川文庫)