雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

鈴木 大介 『最貧困女子』

低所得層のさらに下、社会保障制度の枠組みからもはずれ、その日生きる金をセックスワーク(要するに売春です)で稼ぐしかない女性たち。本書ではそんな彼女たちの実情と苦悩を描いています。

私は幸いにもよい両親、家族に恵まれましたので、家族に頼れない、家族から逃げたいと思ったことは一度たりともありませんでした。しかし、確かにこの本を読んでいて、そう思わざるをえない環境というのは非常に辛いことだと感じました。
私にとっては最後の逃げ場が、彼女たちにとっては逃げなくてはならない場所なのですから。

ウシジマくんに出てくるような悲惨な女性たちの話の連続で、本当に日本の話なのか、信じられなくなってきます。出てくる女性たちの何人かは、おそらく知的に何かしらの問題がありそうなのですが、支援団体に引き渡すことはできないのでしょうか。
しかし、彼女たちの話を見ていると、自分では自覚をしていないのでしょう。草の根分けて探すわけにもいかないので、こういう方達を支援するのは非常に大変なのでしょうね。

セックスワーカーである彼女たちが浮上する方法は2つ。売る側から管理する側へと回ること、そして、恋愛により抜け出すこと。しかし、いずれも管理側へ回るだけの才覚、もしくは恋愛できる容姿に恵まれていないとそれも望めないとのこと。どの世界でも、世知辛いのには変わりはありません。いや、こういう世界だからでしょうか。

最後の著者の訴え(提案?)的なところは蛇足のような気がしました。セックスワークを国は認めて、彼女たちの地位の向上を、と言っているのですが、もはや売春は国際的にも認められない商売ですし……
あと、非常にゲスな話ですが、結局の所このテーマはゴシップ的な要素が強いんです。私も正直、興味本位で見ていましたし。飯の種をなくすようなことを、著者は本気で考えていっているのかなあ、と。提案内容があまりに現実離れしていたので、余計にそう思ってしまうんでしょうね。


最貧困女子 (幻冬舎新書)

最貧困女子 (幻冬舎新書)

  • 作者:鈴木 大介
  • 発売日: 2014/09/27
  • メディア: ペーパーバック