雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

2023-01-01から1年間の記事一覧

荻野 慎諧「古生物学者、妖怪を掘る―鵺の正体、鬼の真実」

タイトルの通り、古生物学者である著者が「妖怪」について古生物学的観点から真面目に考察をしてみた、という一冊です。妖怪については門外漢と著者は謙遜していますが、どうしてどうして。妖怪についての造形も深く、読み物としてとても面白いです。分類と…

廣嶋玲子 『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』

選ばれた者だけが客として訪れることのできる駄菓子屋「銭天堂」 他の駄菓子屋にはない奇妙な品揃えのお店は、紅子さんと名乗るふっくりとしたおばさんが一人で切りもりをしています。売っている商品も収録されている順に 型ぬき人魚グミ 猛獣ビスケット ホ…

マシュー・サイド (著)、有枝 春(訳) 『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

失敗なくして成長なし。失敗とはけっして蓋をすべく臭いものではなく、改善・成長するための重要な糧なのです。 失敗することによる学び 失敗を避けることによる停滞 「小説のようにおもしろい!」という煽り文の通り、失敗にまつわるエピソードの数々はどれ…

松岡 圭祐 『万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ』

シリーズの1、2で完結に至るため、2巻分まとめて読んだ感想を。万能鑑定士という肩書を持つヒロイン凛田莉子がその広範な知識を武器に様々な事件を解決するというストーリーです。1、2巻は連作短編の体をとっています。全てのはじまりは「力士シール」でした…

永井 路子 『日本夫婦げんか考』

イザナギ・イザナミの時代から夫婦は喧嘩を繰り返してきました。それは、人間が子供を作り脈々と血を繋いできた歴史から考えると避けようのないことなのでしょう。とはいえ夫婦げんかは、夫婦のありようを如実に示していると言えるのかもしれません。本書は…

恒川 光太郎 『スタープレイヤー』

チート能力を持っての異世界転移。Web小説界隈ではそういう設定がブームです(でした?)。冴えない人生が一気に華々しいものへと切り替わり、転移先の異世界では思うがままに物事が運び、紛れもなく自分がスターで主人公。異世界での一発逆転です。ご都合主…

今村翔吾『じんかん』

松永弾正秀久。時代小説ファンならば知らない者はないでしょう。 主家を乗っ取り、将軍を弑し、東大寺大仏殿に火をつける、という大悪をやってのけた大悪人として華々しい(?)名を残しています。 しかも、その死も織田信長に反逆し、値打ち物の茶器である…