雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

2022-01-01から1年間の記事一覧

森見登美彦『四畳半タイムマシンブルース』

森見登美彦はやはりいいなあ、という話。駄目大学生の腐れた青春を描く傑作「四畳半神話大系」の続編的位置付けで書かれた本作。ストーリーの大元は、ヨーロッパ企画という劇団のヒット作品「サマータイムマシン・ブルース」とのことです。元ネタの方は見た…

綾辻行人『Another』

いまさらですが、読んでみました。主人公である榊原恒一は父親の仕事の関係で一年間だけ、祖父母の家のある夜見山で暮らすことになりました。中学校3年生の一年間というなんとも中途半端な転校ですが、その後は元いた中高一貫の東京の進学校に戻れることが決…

朝井リョウ『何者』

就活仲間として対策や情報交換を行う五人の若者の人間模様を描いた作品。 2013年直木賞受賞の本作をようやく読んでみました。物語は五人のうちの一人、二宮拓人目線で語られます。彼は学生劇団の主要メンバーとして活躍していましたが、就活を期に引退してい…

隆慶一郎『影武者徳川家康』

先日、関ヶ原に行ってきました。「兵どもが夢の跡」を思わせる、のどかでとてもよい場所です。 とはいえ、いたるところに関ヶ原の史跡があり、さらに、駅前の観光案内所の武将コインロッカーや電柱に貼られた豆知識等々、自治体単位での観光地化への努力がか…

リディア ケイン (著), ネイト ピーダーセン (著), 福井 久美子 (翻訳)『世にも危険な医療の世界史』

医療の発展は試行錯誤の連続でもあります。かつては正しいと信じられていた説が、効果がないどころか害にさえなりうることもあるのです。 本書はこれまでの人類史で、実際に行われていた医療(現在では意味を持たない)に焦点を当てて、紹介をしたものです。…

伊坂幸太郎『AX』

更新が滞ってしまいました。久しぶりの更新は、これまた久しぶりに読んだ伊坂幸太郎「AX」です。「グラスホッパー」「マリアビートル」に続く殺し屋シリーズの3作目で、「AX」というタイトルもこれまでに漏れず、昆虫であるカマキリの斧を意味しているとのこ…

田畑 泉『究極の科学的肉体改造メソッド タバタ式トレーニング』

数十秒間で疲労困憊するような運動を、休憩を挟みながら繰り返すことにより身体能力を鍛えるという、有名なトレーニング方法です。 スピードスケートの清水選手が取り入れていることでも有名です。 その手法について、提唱者の田畑博士が手ずから書いた本書…

梅原 大吾 『1日ひとつだけ、強くなる。』

日本で最初のプロゲーマーとしてレジェンド的な存在である梅原大吾による本です。今はe-sportsとしてプロゲーマーという存在は認知されていますが、長く、子供の遊びといった認識をされ続けてきたゲームの世界で食べていくのは大変だったのだろうと思います…

ナ月 (著), 阿部洋一 (イラスト) 『みんなの精通』

買ったきっかけは、私の好きな阿部洋一が挿絵を描いていたからなのですが、しょうもな、と思いつつ一気に読んでしまいました。タイトルの通り、投稿者からの精通の体験談を集めた一冊です。 精通――つまり初めての射精です。それを体験するのは、だいたい小学…

品田 遊 『止まりだしたら走らない』

中央線を舞台にした群像劇です。 特に大きな事件は起こらずに、普通の人が抱える、小さくも微笑ましい事件を丁寧に描写しています。話の軸になるのは、自然科学部所属の都築と、ひとつ上に当たる新渡戸先輩。野外活動のために、彼らは先に行った部長をはじめ…

高野秀行 『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』

辺境ルポライターの高野秀行による食レポです。とはいえ、どんなことにも体当たりで取材をする姿勢は全く変わらず、サブタイトルに「ヤバそうだから食べてみた」とある通り、単に各国の珍しい食べ物を食べるというものではありません。読んでいて思わず顔を…