雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

マシュー・サイド (著)、有枝 春(訳) 『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』

失敗なくして成長なし。失敗とはけっして蓋をすべく臭いものではなく、改善・成長するための重要な糧なのです。

  • 失敗することによる学び
  • 失敗を避けることによる停滞

「小説のようにおもしろい!」という煽り文の通り、失敗にまつわるエピソードの数々はどれも非常におもしろく、考えさせられます。

失敗をうまく活かしている代表例は航空業界。ミスが起きた時に行う徹底的な原因究明は、「誰の責任か」ではなく「何が問題か」という仕組みそのものに対して行います。

失敗の責を負わされることがないため、個人は些細な失敗も報告できるようになり、失敗が小さい段階で改善することができます。これが、ミスの起こりにくい体質である理由だそうです。

ニュートラルな視点で失敗を評価・分析すれば、進歩につながるのです。

失敗とはまた、反証でもあります。

擬似科学の世界では、問題はもっと構造的だ。つまり、故意にしろ偶然にしろ、失敗することが不可能な仕組みになっているのだ。だからこそ理論は完璧に見え、信奉者は虜になる。しかし、あらゆるものが当てはまるということは、何からも学べないことに等しい。

科学には再現性がなければなりません。批判をされ、議論を重ねて、改善をすることで科学は発展してきました。そうでないものは科学ではなく擬似科学似非科学とも)です。

失敗を恐れてはいけない。失敗から目を背けてはいけない。
自省の意味も込めて大変にためになる本でした。