雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

2021-01-01から1年間の記事一覧

ズュータン 『妻がマルチ商法にハマって家庭崩壊した僕の話。』

タイトルの通り、著者はマルチ商法をめぐる悲劇を体験しています。そして今は、マルチ商法の被害にあった人々にインタビューをして、noteで公開をすることにより、マルチ商法の危険に対する啓蒙活動を行なっているそうです。前半はマルチ商法によってもたら…

北川 恵海 『ちょっと今から人生かえてくる』

もう六年前になりますが、前作「ちょっと今から会社やめてくる」は、かなり話題になりましたね。ブラック企業で心を病んで死を選ぶ直前、ヤマモトと名のる謎の男に助けられて、新しい人生を歩みはじめた青山隆。 そのサイドストーリーともいえる本作は、青山…

馬場 翁 『蜘蛛ですが、なにか?』

マンガ化、アニメ化もして人気のある小説です。いま(?)流行りの転生ものですが、うら若き女子高生の転生先はなんと蜘蛛のモンスターという、転生=チートの定石を外したサバイバルストーリー。 主人公である「私」は、暗い洞窟の中で目を覚ましました。記…

貴志 祐介『天使の囀り』

主人公は、終末期医療に携わる精神科医・北島早苗。 彼女は恋人の高梨に違和感を覚えていました。 それは、作家である高梨が参加した、新聞社主催のアマゾンの調査から帰国後ずっとです。食欲、性欲ともに旺盛になり、そして何よりも、病的なまでに恐れてい…

高野 秀行『間違う力』

辺境作家として、独自の立ち位置を構築した著者。 独自の視点とぶっ飛んだ行動力が魅力の著者が、自分自身の人生哲学について語った本です。全10箇条でまとめられた教訓は、【長期スパンで物事を考えない】だとか【怪しい人にはついていく】だとか、普通に言…

日向 夏 『 薬屋のひとりごと』

コミック化もされ、話題になっていた作品。 なかなか手を出す機会がなかったのですが、ようやく読んでみました。 中国の後宮をモデルにしたらしき場所が舞台です。 主人公の猫猫(マオマオ)は、そこで働く下女です。とはいえ、望んでやってきたわけではなく…

高江洲 敦 『事件現場清掃人 死と生を看取る者』

孤独死は遺体が長時間発見されることなく部屋に放置されることが少なくありません。その場合、腐りはじめた遺体から体液が流れ出て、腐敗臭が部屋中に充満することになります。 このような状態になった部屋を人が再び住めるように清掃する、それが「特殊清掃…

丸山くがね『オーバーロード1 不死者の王』

近未来、あたかも現実のように仮想世界でプレイできるオープンワールドゲーム、ユグドラシル。 多くのプレイヤーを抱え、栄華を誇ったゲームのサービス停止が目前に迫っていました。そんな中、かつて最強の一角を担ったギルド、アインズ・オール・ゴウンのギ…

赤松 利市『藻屑蟹』

大藪春彦新人賞受賞作。 福島原発の除染作業員をテーマにした作品で、著者自身も除染作業員をしていたそうです。 主人公の木島雄介は、福島のとある寂れた街で生まれ、そしてそのまま人生を終えるのだと半ば諦めたような日々を送っていました。ある日、大地…

羽根田 治 『 ドキュメント 気象遭難』

「山岳遭難」に引き続いて、ヤマケイの遭難関連の記録です。 タイトルの通り、今回は気象を原因として生じた遭難をテーマにしたものです。一口に気象と言っても、よく想像するような吹雪によるものだけではありません。気温の低下、落雷、あるいは突風による…

羽根田 治『十大事故から読み解く 山岳遭難の傷痕』

山岳ブームと言われて久しい昨今。コロナ下という状況もあり、アウトドアが人気という話もよく聞きます。しかし当然ながら、山には危険がつきものです。 道迷いや滑落、あるいは悪天候による低体温など、様々な事故が起こりえます。危険を認識していない人も…

アンデシュ・ハンセン (著), 久山 葉子 (翻訳)『スマホ脳』

スマホ依存症、SNS依存症。近年のテクノロジーの発展は目を見張るものがありますが、と同時に、その便利さゆえに片時もスマホを手放せず、一時間に何度もSNSのチェックを欠かせないなど、スマホに生活を縛られているような人間が多いことも事実です。 本書は…

中西 モトオ 『鬼人幻燈抄 葛野編 水泡の日々』

江戸時代。鬼の跋扈する世界を舞台にした伝奇小説です。山奥のたたらばの集落、葛野には「いつきひめ」と呼ばれる巫女がいました。巫女の生肝は鬼たちにとって不死の妙薬。巫女の守護には代々、巫女守という者が当たります。 当代の巫女守は、幼少期に妹とと…

三浦しをん 『神去なあなあ日常』

映画Wood Job!の原作にもなった本作。かなり今更感がありますが読んでみました。 主人公は高校を卒業したばかりの今時の都会の少年・平野勇気。高校を卒業して、進学するわけでもなく、とりあえずフリーターにでもなって適当に生きていくか、と考えていた彼…

犬塚 惇平 『異世界食堂1』

街の小さな洋食屋さん「洋食のねこや」。 そこを訪れる一風変わった人たちを中心にしたオムニバス形式の小説です。平日のランチ時には近隣のサラリーマンたちの胃袋を満足させるその店は、表向きは土日が定休日。しかし実は、土曜日は特別営業日なのです。何…

今村 翔吾 『夜哭烏 羽州ぼろ鳶組』

ぼろ鳶シリーズの第2作目。 再び時代小説に戻ることにしました。1巻で火喰鳥としての情熱と矜持を取り戻した松永源吾ですが、そんな彼が守りたいとする江戸に不穏な火事が発生します。江戸の火消しは、士分の火消し隊が太鼓を打ち、その後に町火消しが半鐘を…

今村 翔吾 『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』

最近出会って、一気にお気に入りの作家になった今村翔吾による青春小説です。 こんなテーマも書いているんだと読んでみました。主人公である大塚春乃の夢は、華道の全国大会「全国高校生花いけバトル」に出場すること。 高校二年生になった今は、自ら華道同…

稲垣 栄洋 『生き物の死にざま』

さまざまな生き物の生き残り戦略を書いた本です。といっても、個体としてではなく種としての遺伝子を残すための戦略です。 生き物たちにとって最優先事項は、自分の遺伝子を子供へ繋げることであって、それにともなって自分たちが命を落とすことは仕方ない。…

しめさば (著), ぶーた (イラスト) 『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』

なんだか最近話題になっているので読んでみました。主人公の吉田は26歳のサラリーマン。彼は5年にわたり想い続けていた先輩社員の後藤さんに振られ(というか、彼氏がいると言われ)、同僚を強引に誘ってのやけ酒の帰りに、道端でうずくまる女子高生を見つけ…

安宅 和人『イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」』

知的生産を効率的に行うためには?をテーマにした一冊です。それは、ライフハック的な一分一秒の余裕を絞り出すための効率化ではなく、問題の本質を見極めて、その本質に向けて進んでいくことである、と著者は書きます。プレゼンのための資料集めにしても、…

近藤 史恵『茨姫はたたかう』

合田整骨院シリーズの続編です。このシリーズのテーマは、世の中で息苦しくも生きている女性に着目したものなのですね。今回のヒロインは誰にでもいい顔をしてしまうがゆえに、同性からは嫌われ、異性からは勘違いをされがちな、優等生タイプの久住梨花子。 …

冲方 丁『戦の国』

戦国時代を駆け抜けた武将たち。 それぞれの想いと生き様を描いた短編集です。織田信長にはじまり、上杉謙信、大谷刑部、小早川秀秋と、有名どころばかりが続くので、どういう経緯の小説なのかと思ったら、歴史ムックの特集だったようです。 有名な武将を主…

ぱんだにあ『ねこようかい』

ザ・癒し。 表紙が可愛らしくて思わず買ってしまい、そこからさらに続編続編へと手が伸びて……猫をベースにした妖怪「ねこようかい」が活躍(?)する4コマ漫画です。 つるっとした顔を見せて、人間を驚かせて喜ぶのっぺらぼうの猫。 首を伸ばして遊ぶ、ろくろ首…

宮澤 伊織『裏世界ピクニック2 果ての浜辺のリゾートナイト』

ネットでささやかれる都市伝説――ネットロアを題材にした小説の第二弾です。主人公である空魚[そらお]は、趣味の廃墟探検の過程で入り込んだ【裏世界】への探検に夢中になっていました。 【裏世界】はネットロアの怪異達が住まう世界で、こっちの世界の常識も…