雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

丸山くがね『オーバーロード1 不死者の王』

近未来、あたかも現実のように仮想世界でプレイできるオープンワールドゲーム、ユグドラシル
多くのプレイヤーを抱え、栄華を誇ったゲームのサービス停止が目前に迫っていました。

そんな中、かつて最強の一角を担ったギルド、アインズ・オール・ゴウンのギルドマスターであるモモンガは、最後の瞬間――サーバダウンの時を待っています。
しかし、予定時刻を過ぎても予期していた強制ログアウトは訪れず、それどこか、決まった行動しかとらないはずのNPCが自己意思を持ちはじめてるではないですか。

そうです。
彼はユグドラシルを舞台にした異世界へと転生してしまったようなのです。

魔力を極めた骸骨のモモンガは、かつての仲間もこの世界に来ていることを信じ、ギルド名アインズ・ウール・ゴウンの名前を世にとどろかせるための伝説を作ることを決意するのです。

ゲームから戻れなくなった系の亜種ですね。

ユグドラシルをプレイし慣れた彼にとって、兵士を含む一般人などは塵芥のような存在です。

異形種としての彼のキャラクターもあいまって、ゲーム世界の人間などにいっぺんの憐憫も抱くことはありません。彼に付き従う元NPCたちも人間を虫けらと同然に見ているため、一度敵と判断されてしまえば、そこにあるのは情け容赦のない虐殺。

エグい描写もあったりして、書籍の形状がライトノベルとはとても思えない感じのいかつい装丁だったのも頷けます。

なんとなくオンラインゲームで実在しそうな設定もあったりして、新鮮といえば新鮮です。
例えば、このアイテム。別名「嫉妬マスク」というらしいです。

クリスマスイブの一九時から二二時までの間に二時間以上、ユグドラシルにいないと手に入らないーーいやいると問答無用で手に入ってしまう、ある種の呪われた逸品。


死を具現化したような外見と能力を持つ主人公ですが、その中身は気の弱い若い男性。
そのギャップが面白いですね。

このままモモンガが異世界に溶け込んで、ギャップが埋まってしまったら微妙になってしまいそうですので、このバランスをどう取っていくのかが気になるところです。