雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

高橋 葉介『師匠と弟子』

漫画家で誰が一番好き? と聞かれたら、私は高橋葉介と答えます。 毛筆で書いているという耽美な絵柄は、実に私好みなのです。さて、本作は不思議な力を持つ男(師匠)の元に預けられた、少年(弟子)を主人公とした話です。 少年は裕福な家に生まれましたが…

白井 智之『おやすみ人面瘡』

デビュー作「人間の顔は食べづらい」のグロテスクなディストピアに衝撃を受けて、これが著者の小説を読むのは二作目です。 グロさは相変わらずで、語弊があるかもしれませんが安心します。本作は、人面瘡が体にできるという病気(というかバイオテロ)が発生…

今井 良 『内閣情報調査室』

スパイ天国なんて揶揄されることも多い日本ですが、スパイ行為を行うような組織が全く無いか、と言われると、そういうわけでもないのです。それが、官邸直轄の組織である「内閣情報調査室」です。この組織は、日夜数多の情報を収集・精査し、有意な情報を引…

香月美夜 (著), 椎名 優 (イラスト)『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第一部「兵士の娘I」』

最近よく平積みにされているのを目にしていて、「本好き」という単語が気になって手を出してみた本。なるほど、これが話に聞く異世界転生ものなんですね。主人公である大学生の麗乃は病的なまでの本の虫。図書館司書の就職口を手に入れ、死ぬときは本に囲ま…

鈴木 大介 『最貧困女子』

低所得層のさらに下、社会保障制度の枠組みからもはずれ、その日生きる金をセックスワーク(要するに売春です)で稼ぐしかない女性たち。本書ではそんな彼女たちの実情と苦悩を描いています。私は幸いにもよい両親、家族に恵まれましたので、家族に頼れない…

スピッツ『旅の途中』

幅広い年齢層の人たちに愛されてやまないバンド。スピッツ。 かくいう私もはまりにはまって大人になりました。つい最近、スピッツの曲を聞き直して「やはりすばらしい」と思ったばかりでしたので、この本を見つけて、運命かもしれないと即購入しました。結成…

矢部 嵩『〔少女庭国〕』

とある女子高校三年生の仁科羊歯子は、卒業式会場へと向かう途中、いつの間にか自分が見知らぬ部屋で横になっていることに気づきました。小さな部屋には向かい合うふたつの扉があって、一方にはノブがなく、羊歯子側からは開けることができませんが、もう一…

小池 龍之介『いま、死んでもいいように 執着を手放す36の智慧』

東大卒の僧侶(当時?)として有名な小池龍之介さんの本です。 コラム連載をまとめたもので、満ち足りた生活を送るための心得が僧侶としての立場から語られています。著者の人格の点では、賛否両論はあるでしょうが、仏の教えを非常に分かりやすく噛み砕いて…