雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

スピッツ『旅の途中』

幅広い年齢層の人たちに愛されてやまないバンド。スピッツ
かくいう私もはまりにはまって大人になりました。

つい最近、スピッツの曲を聞き直して「やはりすばらしい」と思ったばかりでしたので、この本を見つけて、運命かもしれないと即購入しました。

結成から現在(2007年当時)までの彼らの歩み、思考、悩みが、四人の視点それぞれで語られます。赤裸々に描かれる青臭いまでに純粋で熱い思いからは、ヒット街道を突き進み、順風満帆に見えていた中でも彼らは苦悩し、その中で様々な選択をしてきたのだということが分かります。

彼ら的にフェイクファーは満足できる完成度ではなかったなんて。
(私は「冷たい頬」らへんの曲がすごく好きなので……)


【この頃の俺は、はっきりと「バンドのギタリストでありたい」と思うようになっていた。スピッツというバンドの四分の一でいたい、と。】


これは、ギタリストである三輪テツヤの視点で語られた一文です。四人の中でもとりわけ奇抜なファッションが目を引く彼は当初、自分がどう目立とうかということを考えていました。しかし、次第にスピッツの四人だからこそ作り出せる音に魅せられていくのです。
これは彼に限ったことではありません。自己表現や夢のための手段として選んでいたスピッツという「道具」が、四人の中で唯一無二のかけがえのないものへと変わっていくのです。

行間にあふれる、個々人のスピッツへの愛が素敵です。
過去から現在まで、全てを聞き直したくなりました。


旅の途中 (幻冬舎単行本)

旅の途中 (幻冬舎単行本)