日向 夏 『 薬屋のひとりごと』
コミック化もされ、話題になっていた作品。
なかなか手を出す機会がなかったのですが、ようやく読んでみました。
中国の後宮をモデルにしたらしき場所が舞台です。
主人公の猫猫(マオマオ)は、そこで働く下女です。とはいえ、望んでやってきたわけではなく、とある日に人攫いにあって売り飛ばされたという経緯があり、かつてはおやじと彼女が呼ぶ育ての親の元で薬師としての修行に励んでいました。
攫われてきたとはいえ、それなりの給金ももらえ、仕事としては悪くないと思う猫猫は、平穏に年季が明けることを願い、目立たぬようにただ静かな日々を送っていました。
しかし、皇帝の夫人である梨花妃と玉葉妃の御子が揃って病気になっているという話から、猫猫の平穏な日は脆くも崩れ去ってしまうのです。
豊富な薬の知識を使い、こっそりと解決を図った猫猫は、しかし、天女を思わせる美貌の持ち主である宦官の壬氏(ジンシ)に目をつけられ、玉葉妃の毒見役として抜擢されるとともに、彼に「利用」されることになってしまいます。
はてさて、彼女の平穏な日々の行方は――といった感じの話です。
……うん、これは少女漫画の世界ですね。
- 絶世の美人である壬氏にぴくりとも心を動かさず、それどころか虫けらを見るような視線を送り、しかも、壬氏自身それを悪く思っていないらしい
- 下賤の生まれゆえ(?)口が悪く、切れるとけっこう怖い
- 恋愛沙汰には疎く、冷めた態度をとる
- それなのに、周囲の人間からはそこそこ好かれている感じ
なかなか都合の良いヒロイン像ですねえ。
本書を読んでいて既視感を覚えたのですが、「本好きの下剋上」と空気が似ています。どっちも少女漫画チックな雰囲気ですからね。
上の本が好きならこれも好きかもしれません。