雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

しめさば (著), ぶーた (イラスト) 『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』

なんだか最近話題になっているので読んでみました。

主人公の吉田は26歳のサラリーマン。彼は5年にわたり想い続けていた先輩社員の後藤さんに振られ(というか、彼氏がいると言われ)、同僚を強引に誘ってのやけ酒の帰りに、道端でうずくまる女子高生を見つけるのです。

心配で声をかけた吉田に対して、女子高生は「ヤらせてあげるから泊めて」と。

年上好みの吉田にそんな気持ちはさらさらなく、しかし、元来のお節介焼きと、道端で女子高生と「泊めろ」だの「ヤらせる」だのと言い争うという世間的な危険性から、とりあえずは一晩だけ、という約束で家に連れて帰ることになります。

翌朝、目が覚めると、部屋中には味噌汁のいい香りが漂っていてーー

女子高生になんだか複雑な背景がありそうだと感じた吉田は、当面部屋においてやる代わりに家事を引き受けてくれという交換条件を出して、そこから26歳サラリーマンと女子高生の奇妙な同棲生活が始まるのです。

端的にいうとラブコメです。
自分がモテるはずがないと思い込んでいる主人公をめぐる、美少女・美女たちの駆け引きです。ライトノベルですが、なんかタイトルが若干文芸っぽい印象だったので買ってみたのですが。うーん、詐欺られた感。


泊める代わりに体を求めてこないなんて、なんて優しい人!!と、女子高生が主人公を好きになるのはまあいいです(よくない)。

それよりも気になったのは、主人公の勤務する大手IT企業たる会社の実態。

主人公の振られた先輩は28歳の専務。にも関わらず、どうもイチ平社員の主人公の直属上司です。組織図がわかりません。
主人公も今年入社の新入社員にプログラミングを任せて、納期の前日まで確認しないくせに、今日中にバグを直せと怒鳴りつける始末。
仕事できませんって可愛くしている方が、周りが喜ぶんです、と言い切る新入社員。
新入社員(女性)もいるランチの席で、AV女優の話をしだす同僚。

セクハラ・パワハラナチュラルに存在する企業風土です。
極めつけは、このセリフ。

「今回行く支社には社宅がなくてね。宿を取らないといけないんだよ。でも出張ごときで2部屋もとれないでしょ。女性と一緒じゃ1部屋ってわけにもいかないし」


うそでしょ。いまどき、「大手IT企業」でこんなことあります?

ヒロインとライバルが偶然ばったり出会って相手の正体を知らないままに意気投合するとか、ご都合主義の展開はまだいいんです。会社の設定にリアリティがなさすぎて、そっちに突っ込む方で疲れてしまいました。

次巻はもういいかな。