今村 翔吾 『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』
最近出会って、一気にお気に入りの作家になった今村翔吾による青春小説です。
こんなテーマも書いているんだと読んでみました。
主人公である大塚春乃の夢は、華道の全国大会「全国高校生花いけバトル」に出場すること。
高校二年生になった今は、自ら華道同好会を立ち上げて夢に向かってひた走りです。
しかし、花いけバトルはペア競技。
唯一の同好会会員の春乃は新規会員、せめて助っ人をと奔走しては連敗中でした。
顧問の先生から、転校生が華道経験者だと聞いた春乃が行った先は、なんと男の子。
どうにも変わった家庭事情のありそうなその男の子は、春乃の勧誘を一蹴しますが、そんなことでへこたれる春乃ではありません。
なんとかして彼を同好会に引き入れようとしますが――
という、体育会系が主流の青春スポコンを華道で描いた作品です。
「全国高校生花いけバトル」は実在する大会なんですね。なんじゃこりゃって思って調べてみたら、びっくりしました。
とはいえ……うーん、うーーーん。
はっきりいって、超微妙。
登場人物はびっくりするくらいのステレオタイプ。
- 主人公:純粋まっすぐで自称ごくごく平凡な女の子
- 転校生:ひねくれた性格のワイルドなイケメン
- ライバル:名家出身の礼儀正しい美青年
いまどき、少女小説の新人賞にだってこんなべたべたな設定出してこないのでは?
そして、お約束すぎる展開がまた。
大会のルール提示=先のストーリー丸わかり、というある意味親切仕様です。
はらはらどきどきが苦手な人はいいのかもしれませんね。
これは一体誰を対象にして書いた小説なのでしょうか。
「花いけバトル」なるものを広めるための広報的な小説? それならば、納得はできますが。
とはいえ、テーマがテーマだけに、花の描写が潤沢なので、映像化したら映えるかもしれないですね。
旬の俳優を使ったドラマあたりならなんとか(ドラマに対する偏見が多分に含まれています)。
舞台が江戸時代ならいけたのかなあ……と思いつつ。
- 作者:今村 翔吾
- 発売日: 2018/10/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)