雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

白鳥 士郎『りゅうおうのおしごと!』

主人公のチートさでは藤井君に抜かれてしまったと名高い本作。
いかにもライトノベルチックな美少女(幼女)の表紙と設定に敬遠していましたが、読んでみたらなんとも面白い小説ではないですか。

主人公の九頭竜八一[くずりゅうやいち]は、十六歳にして竜王のタイトル保持者のプロ棋士です。
タイトルを取ったものの、それ以降は周りの目や評判を気にするあまり、連敗続きでスランプ状態でした。
ネット掲示板には、クズ竜王とまで書かれる始末。

そんな八一が一人暮らしのアパートの玄関を開けると、そこにはなんと小学生女子が!
「約束どおり、弟子にしてもらいにきました」という少女(幼女)は、竜王戦の会場となった新潟の旅館の一人娘、雛鶴あい。

竜王戦での八一の戦いぶりにすっかり感動したあいは、単身、大阪までやってきたのです。

まだ弟子なんて取る立場じゃない、まして小学生の女の子なんて、という八一でしたが、自身の師匠の口添えもあり春休みの期間だけ、あいとの師弟関係を試してみることに。
八一の将棋にあこがれ、八一の弟子になりたい一心で将棋を始めたあいは、まばゆいばかりの才能と一途な思い(将棋にか八一にかはともかく)をもってして、八一に忘れかけていた将棋への情熱を思い出させてくれることになるのです。

幼女、ツンデレ、お姉さまと幅広い年齢層の美女・美少女、中二病真っ盛りのライバル、将棋会館から放尿する師匠と、ライトノベルらしく濃いキャラクターが居並びますが、その実、内容は熱い青春小説です。
JSを前面に押し出さなくても、十分に面白いのになと思うのですが。


以下の会話は、弟子である八一に負けた師匠が将棋会館の窓から放尿をしようとした際の、姉弟子との会話です。
準備万端の師匠のモノを隠すために、姉弟子がもってきたのは何と将棋の駒箱の蓋でした。

【「小さいよ! いくら何でも小さいよ!!」
 「金[きん]と玉[ぎょく]くらい収まるでしょ?」
 「下ネタかよッ!!」】


しょうもない。
しょうもないですが、笑ってしまいました。
悔しい。

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)

りゅうおうのおしごと! (GA文庫)