雑食こけしの読書録

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北野 唯我 『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』

ブログの内容を小説に書き換えたという本書。

世に傑出した天才であっても、その才能が殺され、時には絶望から当人を死に至らしめることさえもあります。
天才の死、それは凡人によってもたらされるのである。
なぜ天才は殺されてしまうのか、どういうメカニズムによるものなのか。

これを天才・秀才・凡人という3人の登場人物によりストーリー仕立てに解説をしてくれているのが本書です。

天才経営者である上納アンナの才能に惚れ込んで、彼女が駆け出しの頃に作り上げた会社に入社した主人公の青野トオル
順調に業績を上げ続けてきた彼女の才能に陰りが見え始めたところからストーリーは始まります。
彼女を窮地から救いたいと悩む青野に声をかけたのは、なんと渋谷駅前の忠犬ハチ公像でした。
達観したハチ公のアドバイスを元に、青野は凡人である自分の武器を探し、格闘していくことになります。

天才・秀才・凡人。どのタイプであれ、タイプに応じた武器を持っていて、まるでじゃんけんのように相生相剋の関係にある。まずすべきことは、自分の特性を知り、自分の武器を理解すること、というのが本書の主張です。
以下の文は、相生相剋関係を示す一例です。


【なんでかというと、必ずサイエンスが勝ってしまうからや。サイエンスは証明できる。説明能力が高い。一方でアートは証明でき部分がかなり多い。つまり、説明能力が低い】


天才:アートで考える、秀才:サイエンスで考えるため、天才と秀才で議論をした際には秀才に分があるという趣旨の文です。ちなみに、話しているのはハチ公で、こいつはなぜか関西弁なのです。
これはなるほどなあ、と思いました。

全部に納得できるわけではないとはいえ、所々に機知があり刺激的でした。

しかし、この本の随所に見られる情報量のあまりに少ない図表は必要なのでしょうか。
引用部分の後に、図が書かれていましたが、これいりますか?


天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

  • 作者:北野 唯我
  • 発売日: 2019/01/17
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)