雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

岡田 真理 『いざ志願! おひとりさま自衛隊』

若気の至り(?)で予備自衛官補なるものに志願し、全訓練期間を終えた著者の体当たりの体験記です。

タイトルと表紙の軽さでなんとなく色眼鏡で見ていたりしましたが、いやいや、なんとも勉強になる一冊でした。本職ライターという著者の文章は軽妙で、読みやすいです。(時折、ギャグが滑ったりもしますが、まあそれはご愛敬ということで)

自衛官になるには年齢制限で引っかかってしまう27歳という微妙なお年頃。
著者が34歳までOKの予備自衛官補に応募したのはきっと、年齢で切られてしまったことに対する乙女心というか意地のようなものもあったのでしょう。
酔った勢いで志願を決めて、受験、合格、そして50日間の過酷な訓練を耐え抜いたその行動力には感服します。

泥だらけになっての匍匐前進、実弾射撃訓練など、志願を決めたときの軽い気持ちなど、あっという間に吹き飛んでしまいそうなほど、重厚で過酷な訓練の数々。
最初は「すげーすげー」というノリだった著者の態度が、次第に真摯なものに変わっていくのもまた、1人の人間の成長譚を見ているような気分になりました。

しかし、著者が書く過酷な訓練は、本職の自衛官のかたのものに比べればまだまだ甘いものだそうで。本当に、日々訓練を積まれている自衛官の方々には頭が上がりません。

最後に、これ、確かになるほどなと思いました。
国内ですら無防備になれないのに、外に向けてノーガード戦法って?


【座学では他にもたくさんのことを学びましたが、中でも一番印象に残っている教官の言葉は、「武力放棄を謳っている政党本部にも警備員はいる」です。】


いざ志願! おひとりさま自衛隊 (文春文庫)

いざ志願! おひとりさま自衛隊 (文春文庫)