雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

2019-01-01から1年間の記事一覧

岩井 志麻子 『現代百物語』

ホラーの名手による九十九の怖い話詰め合わせです。著者が実際に見聞きした怖い話を集めたものなので、幽霊的な怖さではなく、人間の怖さの方が前面に押し出されています。いたずらに恐怖をあおるのではなく、淡々とした文章で綴られているのがかえって怖さ…

石川 英輔 『実見 江戸の暮らし』

江戸時代の庶民たちはいったいどんな暮らしをしてきたのか? 何を食べ、何を飲み、何を着ていたのかーー特別な出来事ならば記録に残っていることが多いですが、ごくごく一般的なことはあえて記録することもなく、今を生きる私たちがその日常を知るための情報…

重松清 『ニワトリは一度だけ飛べる』

主人公は準大手(おそらく)の食品会社三杉産業に勤務する酒井裕介という中堅サラリーマン。ある日、彼は「イノベーション・ルーム」なる左遷専門の部署に異動を命じられます。 半年の間で四度も人員の総入れ替え(要するに全員退職)が起きている通称「イノ…

内藤 了 『ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

かつて自分が犯した殺人事件と同じ手口で死んでいくという奇妙な連続自殺事件。 新人刑事・藤堂比奈子はその事件を追うが、事件は混迷の一途をたどる。果たして彼女がたどり着いた真相とはーータイトルとあらすじだけで購入したのですが、これが角川ホラー文…

伊坂 幸太郎 『サブマリン』

お待ちかね「チルドレン」の続編です。メインの登場人物は家裁調査官の陣内と武藤の二人。家裁調査官とは、罪を犯した少年の家庭環境や罪に至る動機などを調査し、更正までの道筋を探すという役割を担っているとのこと(Google調べ)。二人が担当するのは、…

冲方 丁 『マルドゥック・アノニマス4』

さあ来ました! 私が心の底から待ち望んでいた「マルドゥックシリーズ」の最新刊です。前巻では、絶体絶命の状態におちいったウフコックを、かつての相棒で彼に言わせるところ最高の相棒だった少女バロットが助けに来るという、最高潮の盛り上がりで次巻に続…

萩原 浩司、げんさん 『萩原編集長の山塾 秒速! 山ごはん』

ともすれば、フリーズドライ食品に頼ってしまいがちな山での食事。 美味しいものは食べたいが、かといって調理に時間をかけるわけにもいかないし、重たいものを背負っていくのもしんどいし、制約のある中でメニューを考えるのは大変――そんな悩みを持っている…

朱野 帰子 『わたし、定時で帰ります。』

なんともキャッチーなタイトル。 このタイトルを考えた時点で、商業的な成功は確定だったのではないでしょうか。主人公はweb制作会社に勤務する33歳の東山結衣。彼女は会社の近くにある中華料理店のハッピーアワーに間に合わせるために、定時で帰ることを固…

瑞慶山 香佳 『数学デッサン教室 ― 描いて楽しむ数学のかたち』

タイトルと表紙に惹かれて購入。数式によって描かれる図形の美しさに魅せられた画家(と言っていいのでしょうか?)が、自らの描いた図形を、数式とともに紹介している本です。著者が冒頭ではじめに数学の専門家ではないと言っているとおり、数式の説明はさ…

樺沢紫苑 『学びを結果に変えるアウトプット大全』

少し前に本屋で山積みされているのをみて、気になって購入しました。精神科医の著者がアウトプットすることの効能、そのやり方が「TALK」「WRITE」「DO」の3テーマ+実践編の「TRAINING」に分けてTIPS集としてまとめられています。1つ1つの項目はイラストや図…

冲方 丁 『OUT OF CONTROL』

Kindleの購入ページを探っていて、冲方丁の本を大量に掘り当てたその名残です。 ハードボイルドあり、ホラーあり、時代小説ありの、冲方丁詰め合わせ的な趣のある、全7編の短編小説集です。精巧なダッチワイフをめぐる異形の情愛を描いた「まあこ」も、自殺…

小島 毅 『朱子学と陽明学』

ちょろっとだけかっこいいタイトルに惹かれて買ってみましたがーー 専門的すぎました。「朱子学ってなんだ?」「陽明学ってなに?」と言うレベルの知識しか持たない人にはついていけないですね。とはいえ、読み通したからには何かしらの収穫を。【最後の 「…

平坂 寛 『喰ったらヤバいいきもの』

生物ライターの著者が好奇心の赴くままに捕獲し、食した生き物について、捕獲までの奮戦と食べた感想を書いたレポ集です。オウムガイ、デンキウナギ、ヤシガニ、ツムギアリなどなど。 著者が食べてきたものは多岐に渡ります。 虫食があるというのは知ってい…

須藤 亮 『スマホメモ 仕事と人生の質を上げるすごいメモ術』

自分の思考をとにかくアウトプットしよう、という趣旨の一冊です。 アウトプットするのが悪いことだ、と言う人は誰もいないだろうと思いますが、つどつどメモ帳を出して書きとめて、というのはあまりにも面倒くさい。であれば、誰もが常に持ち歩いているスマ…

山本 洋子 『ゼロから分かる! 図解日本酒入門』

好きなものは知りたいと思うのは人情。 ということで、日本酒に関するもろもろについて書かれているこの本を読んでみました。 1テーマが見開き1つに収まっていて、興味のあるところから読んでいける作りになっています。日本酒の歴史に関する話もいいですが…

瘤久保 慎司 『錆喰いビスコ』

なんだか話題になっていたので。久しぶりのライトノベルです。 舞台設定ははるか未来の日本でしょうか。行き過ぎた科学が暴走した結果、錆風と呼ばれる人を蝕む恐ろしい環境の中、日本はごく一部を除き、荒涼とした大地と化しています。主人公のビスコという…

冲方 丁 『はなとゆめ』

再び冲方丁の本です。 主人公は枕草子でおなじみ清少納言。わりと賛同をもらえるのでは、と思うのですが私これまで、清少納言ってあんまりいいイメージを持っていなかったんですよね。男勝りで知識をひけらかす鼻持ちならない才女、みたいな。 結局のところ…

矢部 嵩 『魔女の子供はやってこない』

導入部分の衝撃的な大量殺人。 これはなんだかやばいやつが登場したぞ、と思いきや、地味目な女の子の安藤さんと、金髪色白美少女魔女のぬりえちゃんの、探偵物語チックな展開へと一変する、なんとも奇妙な味の物語でした。魔女の修行のために人間界へとやっ…

尾原 和啓 『どこでも誰とでも働ける――12の会社で学んだ“これから"の仕事と転職のルール』

12もの企業を渡り歩いてきた著者が、自分自身の経験をもとに、どこの企業でも必要とされるためには、あるいは、自分の力で仕事をやっていくには? ということをテーマに書いたtips集です。1テーマ1テーマは短いので、空き時間とかにさくさく読めます。副業解…

笹間 良彦 『図説 日本未確認生物事典』

日本津々浦々の想像・伝説上の生き物を多数の出典より分類して、豊富な画像とともに記述した本。 興味のない人には「ふーん」で終わっちゃうかもしれませんが、私はこういうのが大好物なので、うきうきしつつ読みました。【こうした話で有名なのは『怨み葛の…

冲方丁 『十二人の死にたい子どもたち 』

記念すべき一冊目は、私の大好きな作家の作品です。映画にもなったことですし、話題性も知名度も抜群の小説だろうと思います。 簡単なあらすじ(導入)としては、死という共通の目的をもって、廃病院に集った十二人のティーンエイジャーたち。 そこにいるの…

前書き的なもの

本を読むのが好きです。 ずっと紙派だったのですが、Kindleの登場に衝撃を受けて、iphone/ipadのKindleアプリのサクサク動作にさらに感激して、すっかり電子派に鞍替えしました。 画面にずらっと表示される読んだ本のタイトルを眺めていて、「あれ、こんなの…