岩井 志麻子 『現代百物語 嘘実』
以前に読んだ「現代百物語」の続編です。
このシリーズ、たくさん出ているのでひたすらに読み続けることになりそう。
前回同様、著者が見聞きした怖い話が九十九綴られています。どの話も数ページでまとめられていますので、少し空いてしまった時間でも十分に楽しめます。
とはいえ、私は一度読んだら止められずに一気に読んでしまいました。
生きている人の怖さがメインで、自分の住む世界の裏側を覗いている気分になります。
全く見知らぬ人が、過去の写真で自分ととても親しげに写っているということがある、という体験談が書いてありました。
たいていの場合は、捨てもできずにそのまま引き出しに戻してしまうそうですが、唯一、著者が恐ろしくて捨ててしまった写真があるそうです。
なぜならば――
【二十年前の彼女は、私に対して激しい憎しみの鋭い目を向けていたからだ。】
ここで書かれている女性は見知らぬ人ではなく、二十年前には知り合っていないはずの女性なのです。しかも、著者はこの女性と激しい喧嘩別れをしたといういわくつき。
この写真の女性が本当に著者の思う人物なのか、そうであれば、彼女は二十年前から著者に憎しみを持っていたのか。別人であれば、著者に恨みを持つこの女性は誰なのか。
どんな展開になっても怖い。
それにしてもこれだけ怖い体験をするとは、著者はなにかそっちの世界のものを引き寄せる力でもあるのでしょうか。怖い話をすると、お化けがやってくる的な。
- 作者: 岩井 志麻子
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/06/25
- メディア: 文庫
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