最東 対地『おるすばん』
主人公の祐子が、久しぶりに会った地元の友人の文香から聞いた「ドロボー」なる都市伝説。
それは、一人で家にいるときにチャイムが鳴っても、決してドアを開けてはいけない。開けたら最後、ドロボーに体の一部を無理矢理持っていかれてしまうというものでした。
兄家族に起きている奇妙な出来事に心を砕いていた祐子は、ドロボーと何か関係があるのではと考え、探り始めるのですが……
うーん、全体的な構成は正直いまいちです。
その設定いる? みたいな。
ですが、ちょいちょい巧みなところが出てくるので、一気に読んでしまいました。
章ごとに、ドロボーの被害者たちのシーンが挿入されるのですが、これがいかにもなホラーでいいですね。特に、受験生の元へとやってきたドロボーが、あの手この手でドアを開けさせようとするところは、ぞわっとしました。
また、友人の文香が語る、ドアを開けてはいけない理由について。
この訳の分からなさが、とても都市伝説っぽい。
【「”ドアを開ける”という行為が”招き入れる”と見なされるみたいなのよね」】
長編に仕立てるよりも、救いのない短編を集めた方が面白かったんじゃなかろうかと思ったりもします。
- 作者: 最東対地
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2019/09/21
- メディア: 文庫
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