さとうふみや (原著), 天樹征丸 (原著), 金成陽三郎 (原著), 船津紳平 (著) 『金田一少年の事件簿外伝犯人たちの事件簿』

色物だと思って一巻を試しに読んでみたら、あまりの面白さに一気買いしてしまった本シリーズです。

説明の必要もないと思いますが、念のため。
巻き込まれた第三者や警察からするととても心強く頼りになる、金田一少年。
しかし、犯人から見ると（当然ながら）全然その印象は違います。

綿密に立てたトリックも、必死に行ったアリバイ工作も、金田一少年の前では紙の装甲です。
そんな犯人たちの奮闘記と、チート金田一少年を目の当たりにしたときの恐怖をじっくりゆっくりと描写した漫画です。

いやあ、なんというかとにかく面白い。
本家の読者側から見ていた時は気づかなかったけど、金田一少年まじチートです。
恐ろしい連続殺人犯が、金田一少年を前に本気で絶望し、恐怖します。

本家をちゃかした書き方をしていますし、実際それが面白いのですが、相当本家を読み込んでないと書けない話だと思います。
本家に対する管理のリスペクトがくみ取れるので、不快感はありません。

（異人館～のトリックに関するごにゃごにゃで、ぶっちゃけ本家は……なのですが）

案外、推理小説を書く側の人も、これを読んで実現可能性なんかを考える役にも立つのではないでしょうか。

若干、ギャグマンガ日和っぽいテンションのギャグもいいです。
アルコールが入った状態で読んでいたら、何度もツボにはまってしまいました。
電車の中で読むのは注意かもですね。

雑食こけしの読書録