雑食こけしの読書録

読書記録をメインに趣味のことをゆるく書いています

瘤久保 慎司 『錆喰いビスコ』

なんだか話題になっていたので。

久しぶりのライトノベルです。
舞台設定ははるか未来の日本でしょうか。行き過ぎた科学が暴走した結果、錆風と呼ばれる人を蝕む恐ろしい環境の中、日本はごく一部を除き、荒涼とした大地と化しています。

主人公のビスコというのは、「キノコ守り」というキノコを自在に操る一族の若者。赤髪に猫目グローブの乱暴かつ破天荒な少年。彼とともに旅をしてきた師匠は、錆風に体を侵されて、特効薬がなければもう幾ばくもない命――なのですが、とてもそうは見えない元気なおじいちゃん。

一方、ビスコの相棒となるべく少年ミロは、端正な顔立ちをしていますが、目元にある大きなあざのせいで、「パンダ先生」と住人から慕われる優秀な医者。ミロにもまた、錆に体を蝕まれた豪傑美女である姉パウーがいます。

まるで正反対な二人が出会い、心を許し、巨悪に立ち向かう、というかなり正統派ライトノベルです。割とぐちゃぐちゃ血まみれシーンが多くて、多分、主人公たち5回は死んでるんじゃないでしょうか。

予想通り、ビスコはあっという間にデレました。
そして、弟であるミロを溺愛しているはずのパウーもいつの間にやらデレます。

【「あいわかった! 念仏はいるか?」「結構! 現人神の舌を吸ったばかりです!」】

一か八かの勝負に挑むパウーとビスコの師匠との問答のシーンです。この直前に、パウーはビスコに強引にキスをするという一幕がありました。この返しは、なかなかかっこいい。

このシーン以外にも、ライトノベルならではのくさいせりふが頻出しますが、これがなくちゃ始まらない。ライトノベルは正統派バトルが一番。

錆喰いビスコ (電撃文庫)

錆喰いビスコ (電撃文庫)